パリの町並みと、ポンヌフ橋をオープンセットで再現したというこの映画は、フランス映画史上に残る大作となったようです。東京では、単館上映を半年以上続けたという、独立系映画史上2位の記録を作りました。
最初は、そういうウリで買ったものの、もう2分も見たらドップリはまりました。のっけの夜のパリ、アレックスが轢かれるシーン。そのアレックスを拾う浮浪者収容バスの中、そして、収容所。これはドキュメンタリーフィルムなのでしょうか?フランスにはこれを演じられる役者がいるのか?(こんなに沢山!)
ドニ・ラヴァン(アレックス)という役者も(友達の戸臺に似てる)カラックスの映画でしか見ませんが、一度みたら一生忘れない役者になります。クセのある顔だちも、見つづけると良い顔に見えてきます。こんな顔になりたいとも思う。
アレックスとミシェルは愛し合います。盲になった自分を愛しつづけてくれるのはアレックスしかいない、とミシェルは思うのでしょうか。しかし、ミシェルの目は治ります。アレックスは、治るという事実を隠蔽しようとします。しかしミシェルは知ってしまう。治すためにアレックスと別れ、元の世界に戻っていきます。当然、アレックスは荒れます。
その自虐的な崩壊の仕方がいい。これこそ(僕には)リアルだ。
ジュリエット・ビノッシュはフランスを代表する演技派ということになったようです。ポンヌフの前作である「汚れた血」(カラックスの2作め、中古屋でスンゴイ値段のついてるヤツ)でデビューした時は、とっても可愛い子だったのに、カラックスの2本で女優としての性格付けをされたかもしれません。
この映画は、映画好き人の、フランス映画に対する試金石になるかもしれない。この映画を受け入れられれば、もうフランス映画からは抜け出せないかも。僕は、この映画を見て、「ダメになったらフランスで浮浪者になろう。」と決心しました。フランス語どころか、英語もだめなのに。
うぉー。実はこの映画について語りたくて、このコーナー作ったような気がする。ちっと硬いので、柔らかくつなぎましょう。
普通、よっぽど映画を見る人でもロードショー館メインの人は、カラックスという名を知りません。しかーし、カラックスという名は、全国に知れ渡っているのです。何する人かも知られずに。なぜなら…