ネタをバラしてしまえば、中学時代に同姓同名の同級生、しかも女子がいて、博子が見た住所は、その女子のほうの樹の住所だったという話。だが、これがオチになっているわけではないので、バラしてもかまわないだろう。
博子と女子の樹は、文通を始め、その事情を知り、博子は小樽まで出向く。物語は中学時代の樹と樹の話と、現在が交錯しながら展開する。
問題は、同姓同名の樹が存在したことではなく、その(女)樹の顔である。作品では、中山美穂の一人二役で、特殊メイクもなく、どちらも同じ顔。
演出としてはありがちで、「中山美穂を見たい」というファンサービスのなのかと思っていたが、しかし、物語にとってこれは重要なことである。すでに死んでしまったフィアンセ樹は、いわば初恋の人である(女)樹と同じ顔をした女(博子)と結婚するつもりだった。その事実を博子には告げずに。博子のほうは心中穏やかではない。死んで2年もたったフィアンセが、自分を見初めた理由は「顔」だったのか?。
フィアンセを亡くした博子を支えているのは、陶芸をしている秋葉という男ですが、これを演じるのが、かの豊悦、豊川悦司です。この人も人気あるんだか、ないんだか分かりにくいなぁ。万人ウケするタイプじゃないけど。フジテレビがお金を出してることもあって、キャストはけっこう豪華です。(篠原クマさんいい味出してます。影の主役かも)
岩井俊二監督は、最新作スワローテイルが話題になってますね。スワローテイルは(僕の知っている範囲では)評価が割れてます。このLove Letterは、監督の劇場公開用初作品ということですが、充分堪能できます。(Hi-Viのレビューだと、「映画としてのボーダーライン上を漂いながら、辛うじて映画のレベルを保ってる」みたいな言われかたをしてましたが、あまりに辛くないですかねぇ。テレビ出身の監督はみんなこういわれるのかなぁ。)
さて、この岩井俊二監督が豊悦主役で撮ったもう一つの作品があります。
トップページへ戻る 97.1.28